公益社団法人日本山岳会が運営する上高地山岳研究所(さんけん)のブログです。
四季を通じた上高地・北アルプス周辺の情報や登山報告や、委員の山にまつわる雑感を綴っています。

2018年11月29日

ふたりのアキラ − 松濤明と奥山章

先日上高地が登場する本を読みましたので、ご紹介します。
「ふたりのアキラ」平塚晶人・著(amazonのリンク


著者の平塚さんは、地図読み本でも著名な方で、ご存知の方も多いと思います。
平塚さんご本人を囲んだ読書会があったので、慌てて読み始めたのですが、これが本当におもしろくて・・・夢中になって読み終えました。

ふたりのアキラというのは、大正・戦後を生きた二人のクライマー・松濤明と奥山章のことです。
二人と交流のあった山田美枝子さんという女性と著者の平塚さんの往復書簡という形式で、ふたりの生き様を描き出しています。

松濤明氏は、先鋭的なクライマーでしたが、昭和24年の冬の北鎌尾根で26歳という若さで遭難死します。
松濤さんに淡い恋心を持っていた美枝子さんは、北鎌尾根から下山してきた会えるかもしれない、と期待を寄せて一人で上高地に入りますが、その時彼は亡くなっていたのです・・・。

この二人の関係が、井上靖の小説「氷壁」の魚津恭太と彼を慕う小坂かおるのモデルになったと言われています。

そしてその後、美枝子さんは、第二次RCCを創設した奥山章氏と出会い、結婚して彼が亡くなるまでの7年間を共に暮らします。


二人の「アキラ」は、タイプは違っているようで、それでも不器用ながら、懸命に生きた人たちという印象を持ちました。
(その二人が、また美枝子さんという女性を通して描かれているところがまたいいんです)


ところで、この本のどこに上高地が登場するのかというと・・・松濤さんや奥山さんが滝谷や穂高に向かう度に上高地を通っていますし、また美枝子さんは、若い頃新穂高温泉の旅館で働いていたので、西糸屋や穂高小屋のこと、みんなで安曇節を歌う微笑ましいシーンもあります。

この本は、二人の偉大なクライマーの伝記でもあり、戦前から戦後にかけての山岳史でもあり、青春群像劇でもあり、壮大なヒューマンドラマでもあり・・・。
冬の夜長に、ぜひお手にとってみてください。

読書欲も食欲も止まらない山研委員 わだこ記


2018年11月19日

上高地は閉山しました(11/15閉山式の様子)

毎年11月15日に行われる上高地閉山式は
たいていチラチラと雪が舞ったり寒風が吹いたりするのですが
今年の閉山式は穏やかな快晴に恵まれました。


この秋、穂高には何度か積雪がありましたが
それもすっかり消えてしまっています。
枝先の赤いのはケショウヤナギ。



閉山式の神事



参加者も例年より多かったような気がします。



帰り際に大正池から撮影した穂高。



今シーズンも山研にお越し下さったみなさま、
そして折に触れて励ましてくださったみなさま、
ありがとうございました。
また来シーズンも、どうぞよろしくお願いいたします。

元川