2019年11月15日

上高地閉山式と氷の羽根、ご挨拶

上高地閉山式の朝を迎えました。
冷えていますが穏やかな日です。

















上高地でのこうした神事にはこれまでに何度も立ち合わせていただきましたが、
地元の方々の、山の神々に対する真摯な姿勢そのものに、
私はいつも畏敬の念をおぼえてきました。
その姿は、宿命的にこの地を先祖から受け継ぐ人々の、
ゆるぎない覚悟と誇りの現れなのかもしれません。
そうして守られてきた上高地で、
20年もの月日を自由に過ごさせていただいたことを感謝しています。


私は上高地の自然から、
数え切れないほどの驚きや歓びを与えられましたが、
この氷の羽根もそのうちのひとつでした。
放射冷却で冷え込んだ初冬の上高地で稀に見られる神秘的な現象です。
今日はちょうどその条件が揃っていました。
シソ科の植物(上高地ではコウシンヤマハッカ)の枯れた茎の根元に付着する薄氷。
高さは地面から数センチ。他の植物には付きません。
この植物だけは、枯れてもなお僅かに水分を吸い上げ続けているということでしょう。
その水分が凍って羽衣のような繊細な造形美を作り出します。





山研管理人としては5年間お世話になりました。
不慣れな仕事にアタフタするばかりで行き届かない点も多かったと思いますが
あたたかく見守ってくださった会員さんと委員会のみなさんには
心からお礼を申し上げます。

本当にありがとうございました。  
またどこかでお会いできますように! 

元川里美




2 件のコメント:

  1. 長い間といっても5年でしたか、もう3年位は上高地の女神でいて欲しかったというのが、山男・山女を問わずの真情だったと思います。山への畏敬の念といえば中村清太郎や田部重治を想い起こします。山研以前の長いビジターセンターでの上高地の自然観察環境の成果をもって、自然への慈しみある眼差しが山研来訪者達への愛情あふれる対応に現れたことに感謝、感謝です。

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  2. 長い間と言っても5年でしたか、もう3年位上高地の女神でいて欲しかったと思っている山男・山女が殆どでしょう。山研以前のビジターセンターで培った自然観察と山への畏敬を根底に、自然への慈しみに満ちた姿勢は山研を訪れたJACとその同伴者に見せた対応の素晴らしさと相俟って、感動を呼んだことが語り伝えられることでしょう。感謝、感謝です。

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